プラズマローゲン

プラズマローゲン
ってなに?

プラズマローゲンとは

人間の体内のあらゆる細胞には、「リン脂質」という脂質成分が含まれています。その中で、とくに人間にとって有用な機能を持っているものを「機能性リン脂質」と呼びます。
プラズマローゲンは、この機能性リン脂質の1種です(図1)。一般的なリン脂質と異なる特殊な構造を持っています(図2)。※ビニルエーテル結合(CH=CH)

この特殊な構造は酸素との反応性が高いことが知られています。つまり、プラズマローゲンは高い抗酸化作用を発揮することができ、酸化ストレスによって引き起こされるさまざまな病気などから私たちの身を守っていると考えらています(図3・右)。

図1

図2

図3

加齢とともに減少するプラズマローゲン

プラズマローゲンは、加齢とともに減少していくことが分かっています。
そうなると、プラズマローゲンの抗酸化作用が発揮されにくくなり、体内には酸化ストレスによって生じた酸化物質が蓄積してくるため、さまざまな病気が引き起こされるようになると考えられています(図3・左)。これまでに、高齢者に多くみられるアルツハイマー型認知症の患者では、脳や血液中のプラズマローゲンが減少していることが報告されています(文献123)。

  • 1 Decrease and structural modifications of phosphatidylethanolamine plasmalogen in the brain with Alzheimer disease.
    Guan, Z., et al.
    J. Neuropathol. Exp. Neurol., 58, 740-747, 1999.
  • 2 Peripheral ethanolamine plasmalogen deficiency: a logical causative factor in Alzheimer's disease and dementia.
    Goodenowe, D. B., et al.
    J. Lipid. Res., 482, 485-2498, 2007.
  • 3 Circulating plasmalogen levels and Alzheimer Disease Assessment Scale-Cognitive scores in Alzheimer patients.
    Wood P.L., et al.
    J. Psychiatry. Neurosci., 35, 59-62, 2010.

プラズマローゲンの可能性

私たちは、プラズマローゲンとアルツハイマー型認知症の関係性に着目し、2007年より、農林水産省所轄一事業として研究を開始し、大学機関とも共同研究を重ねてきました。

アルツハイマー型認知症とプラズマローゲン(図4)

アルツハイマー型認知症は、酸化ストレス等により脳内に引き起こされた脳内炎症をきっかけとして、神経細胞が死んでしまうことにより、脳が萎縮して発症すると考えられています。
私たちは、マウスを用いた研究において、プラズマローゲンが、アルツハイマー型認知症の発症に関わるとされる脳内炎症や原因物質の蓄積を抑えることを確認しました。
また、マウスにプラズマローゲンをあらかじめ食べさせておくと、脳内炎症が抑制され、原因物質の蓄積が大幅に少なくなり、学習記憶能力の低下を軽減することも確認しています。

図4 アルツハイマー型認知症の発症機構に関する仮説(アミロイドカスケード仮説)とプラズマローゲンの動き

脳の変化

  • 1.
    脳病理所見では、肉眼的にびまん性の脳萎縮がみられます。
  • 2.
    病理組織学的には大脳皮質の神経細胞の顕著な脱落がみられます。
  • 3.
    多数の老人斑(アミロイドβタンパク質の凝集体)と神経原線維変化
    (線維のもつれ)がみられます。