食べた物がみんなの「カラダ」をつくるから、「食」はとても大切。「ちょっと苦手な食べ物があるなぁ」って言う前に、おいしく楽しくいただくために、食べる時期や調理方法をいろいろ工夫してみては? 「意外においしい!」ってなるかも。
下のグラフのように、日本人の野菜の消費量は、昭和から平成に変わる時期をピークにどんどん低下しています。パパ・ママ世代はもちろん、野菜嫌いは子どもたちにも広がっているよう。野菜だけではありません。「水産白書」によると、1965年には1人当たりの魚の購入量は14キロだったのが、2005年には12.7キロに減少。ここ40年で日本人は徐々に魚を食べなくなってきています。忙しいお母さんが増え、手間のかかる調理をご家庭でできなくなった事も原因のひとつかもしれませんね。でも、栄養的に深刻な状態におちいる前に、お子さまからお父さんお母さん、そしてお年寄りまでが健康な毎日を過ごすため、野菜や果物、魚などの新鮮な旬の食材を、もっと楽しんでみませんか。
スーパーや市場では、1年中ほとんど変化のないラインナップで野菜や果物、魚介類が売られているけれど、実は食材にはそれぞれに「旬の時期」があります。旬の食材には、その時期の人の体に必要な成分がたくさん詰まっているんですね。夏が旬の野菜には体を冷やす効果が、逆に冬野菜には体を温める効果が。春野菜には暖かくなる季節に向けて、体を目覚めさせたり、調子を整える効果があると言われています。さらに、旬のときと旬以外のときでは、同じ野菜でも栄養価が2〜3倍と大きく異なるんですよ。
魚も同じこと。一般に、魚の旬とは産卵前の時期だそう。産卵準備のために大量のえさをとりますから、身が太り、脂がのって、旨みのもとであるイノシン酸やグルタミン酸が多く含まれるからだと言われています。たとえば鮭(サーモン)の旬は基本的に秋から冬にかけてです。秋になると鮭は繁殖のために一斉に川を上りはじめます。繁殖準備のため餌を十分に摂り、丸々と太って成熟した鮭を、河口あたりで捕獲します。ですから秋から冬の鮭は身たっぷりでおいしいのですね。
このように、各食材がいちばん力を発揮する「旬」は、おいしく栄養たっぷり、それに経済的と、いうことなしの時期。それぞれの食材の旬をよく知って、その時期にたっぷり含まれる栄養素を賢くバランスよく摂りたいですね。